映画『英雄/ヒーロー』は、世界映画界でも名高い中国の映画監督・張芸謀氏(チャン・イーモウ)渾身の最新作です。
約3000万ドルとも言われる制作費が示す通り、「超大作」であることはもちろん、チャン・イーモウ監督が初めて挑戦する、アクション&歴史物であると言う点も見逃すことはできません。
この映画は、そのスケールの雄大さで再び世界を驚かせることになりました。
『英雄/ヒーロー』の中では、「残剣」、「無名」、「長空」、「飛雪」といった義士たちの愛と憎しみ、国難に向かって立ち上がった彼ら勇士たちの義侠心と豪気などが、中国の大物映画スターたちの迫力ある演技によって余すところなく表現されています。
またそれ以上に、最もこの映画の成功に寄与したのは、世界トップレベルの才能を有する中国音楽家、譚盾氏の音楽だといわれています。
譚盾氏は2000年に『グリーン・ディスティニー』のテーマ曲で、史上初めてアカデミー賞を獲得した中国人音楽家となりました。
譚盾氏の音楽を聞くならば、雄大な心をもって聞くべきだということは、よく言われていることです。
『英雄/ヒーロー』の物語は戦国時代末期を舞台としています。いくつもの国が群雄割拠する時代、その中でも「秦」は最も強力な国で、秦王(のちの始皇帝)は各国共通の敵でもありました。
「残剣」、「飛雪」、「長空」といった、伝説として語りつがれるほどの名だたる刺客たちが、彼を暗殺しようと動き始めます。
秦王はその動きを察知するや、それら刺客たちの首に報奨金をかけたのです。しかし伝説ともなった刺客たちを討つのは不可能に近く、何年もの間、報奨を申し出た人物はいませんでした。
しかしある時、「無名」と名乗る謎の義士が、「残剣」、「飛雪」、「長空」らの伝説の一部である、それぞれの武器を携え、秦王の前に現れたのです。
「無名」は、十年もの間修行をし、「十歩一殺」(十歩離れたところからでも一撃で人を殺せること)という絶技を編み出し、そして三人の刺客を討ったというのでした。秦王は喜び、「無名」の話に聞き入りましたが、その後「無名」の口からは、思いもよらない真実が明かされるのです…。
それは、秦王からわずか十歩しか離れていない場所でした――。
『英雄/ヒーロー』の魅力の一つは、先にも記述した通り、国際的に影響力のある映画スターが数多く出演しているということです。
古くは『少林寺』、最近では『ロミオ・マスト・ダイ』の好演で知られるジェット・リー、『花様年華』のトニー・レオンや、ベルリン国際映画祭の女王と呼ばれるマギー・チャン、そして『グリーン・ディスティニー』のチャン・ツィイーなど、世界でも名高い名優ばかりが揃いました。
中国大陸では昨年の12月に公開され、上映後3日間で5000万人もの観客を動員したといわれています。日本では20世紀FOX配給で、今年の夏上映されます。
『英雄』は、いったいどのような旋風を巻き起こしてくれるのか――?今から楽しみですね。