今回ご紹介するのは、北京テレビ芸術センターと天津テレビドラマ制作センターなどによって共同制作された連続ドラマ――『結婚十年』です。
このドラマは20話から構成されていて、現代中国における核家族の日常生活を通して夫婦間の愛情を考える現代都市型ドラマです。
このドラマの主人公である韓夢と成長の二人は、大学時代からの恋人同士であり、卒業後も同じ都市で仕事をするようになりました。恋人として楽しく6年間を過ごし、その後二人は結婚します。
しかし婚姻届けの手続きから、その後十年間に渡って、彼らの結婚生活には、いろいろな厄介事が襲い掛かってくるのです。
たとえば、成長が婚姻届のための健康診断に行く途中、(中国では結婚する際、健康診断書の添付が義務付けられています。)バスに乗り遅れ、それなら自転車で行こうと決めたものの、ぼろぼろの自転車がまた途中で壊れてしまうのです。でもこれはまだ困惑の始まりでしかありませんでした。
指定された病院でないという理由だけで、せっかく発行してもらった健康診断書が無効だと言われ、おまけに、指定病院では、あせって行列に割り込もうとしたため、周りにいた人から顔を殴られる始末……。
顔に傷を負っているからといって、写真館のお爺さんは結婚証明写真を撮ってくれず、あれこれ言ってやっと写真を撮ってもらったものの、今度は「男性が左、女性が右」という「正しい位置」とは正反対の位置で撮ってしまったことに、後で気づくのです…。
自分達だけの空間を望んだ二人ですが、結婚寸前になって、部屋を奪われてしまいそうになるという緊急事態も生じてしまいます。まさに一難去ってまた一難の繰り返しばかりです。
ようやく念願の婚姻届を出すことに成功した二人は、残ったわずかな20元で、ある小さな料理屋で祝杯をあげようとしました。しかし出された魚料理の魚は腐っていました。――
「結婚十年」の間、韓夢と成長は、子供の誕生、失業、バイト生活、別居生活、離婚裁判、商売破綻、再会など、家庭にとって大事件と言うべき出来事を経て、はじめて静かで穏やかな気持ちで相手と見詰め合うことができるようになったのです。
そして、二人が十年かけて築いてきた「家」と「家の外の世界」とを、見直すことができるようになったのです。――
『結婚十年』は、二十世紀の最後の十年を舞台にしています。この十年間、中国の人の考え方は、過去の伝統的なものを問い直し、徐々に解放し、変質させてきた十年でした。
人々の中には、目の前の目まぐるしい変化に戸惑う時期もあったり、困惑したりする時もありました。とはいえ、人々は少々混乱しつつも、充実してこの十年を過ごしてきたのです。
彼らがいかに自分を見直し、他人や社会といかに接していくべきかをはっきりと認識し、大きな成長を遂げてきたということが、このドラマが視聴者に伝えたい真意なのです。
業界人の言葉を借りると、このドラマは「顔をほころばせてくれつつも、重みを感じる感情劇」だということです。というのも、このドラマを見ると中国の人々はみんな、自分の姿が見え隠れしているような気がするからです。
中国人である自分から見ても、このドラマを通して、変化しつつある中国と中国人をより一層理解できるような気がします。
一見して平凡なように見えますが、素晴らしいドラマだと思います。一度はご覧になることを強くお薦めします。