文化大革命も末期に近づいた1975年。四川省の成都から地方へ下放されることになった女生徒・秀秀(シュウシュウ)。学生仲間たちと送り込まれたのは軍隊の牧場だった。1年ほどたったある日、彼女に次の指令が下った。さらに辺境で半年ほど放牧を学習し、戻ったときには女子騎兵隊長の栄誉を担えるというのだ。
シュウシュウの指導者はチベット族のラオジンという孤独な中年男で、ケンカの制裁として男性機能を奪われていた。ラオジンと一つのテントで生活し始めたが、都会育ちの彼女には我慢がならない環境だった。そんな彼女のためにラオジンは露天風呂を作ってやり、彼女はそれを無邪気に楽しんでいた。
あっという間に時は過ぎ、任期が終わったのに迎えが来ない。次第に焦るシュウシュウ。実は彼女を送り込んだ本部は文革終了の混乱で彼女どころではなかったのだ。どうやれば都会へ帰れるのか…。かすかな可能性を求めて彼女が接触したのは草原を行商して回る男だった。戻れるのなら、と身を委ねるシュウシュウ。噂を聞きつけ、入れ替わり立ち替わり男たちがシュウシュウのもとを訪れるようになった。すべての男に戻れるように頼むシュウシュウ。それでも迎えは来なかった。そして、ついに…。
1977年に謝晋監督の《青春》でデビューした陳冲(チェン・チョン)は、《戦場の花》(1979)、《海外赤子》(1979)、《蘇醒》(1981)に出演し、一躍トップ女優となった。本作は、その後アメリカに留学して米国籍を取得し、ジョアン・チェンと名乗った彼女の初監督作品である。
シュウシュウ役の李小璐はテレビドラマ《都是天使惹的禍》や《迷侠》《少年英雄之洪文定》などで人気のアイドルだ。母親は有名女優の張偉欣(チャン・ウェイシン)。1981年生まれの23歳。本作出演時には16歳だった。中国では彼女の人気がブレイクしている。
なお、本作は中国で撮影されたアメリカ映画です。そのため、特別上映会の枠で上映となりますが、定期上映会と同じ形式で開催されます。