この映画にはもう一つ感動の仕掛けがあります。現代のシーンで、そんな若かった先生も年をとり、新しかった校舎も古くなっています。新しい校舎の金策のために吹雪の中を心臓病をおして町に出かけた先生は途中で亡くなってしまいます。
先生の遺体は町の病院に安置されていました。車で村まで運ぶと死者が家路を忘れるので必ず担いで帰らなければいけないという迷信を信じるディはどうしても町から担いで帰ると言い張ります。人手と費用が必要なので無理だから説得するように村長に頼まれた息子は最初説得を試みますが最後には母親の望むようにさせようと思い、5000元(日本円で7万円くらい、中国では映画をとられた当時で都市部の半年分くらいの給料)を村長に手渡します。
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右のセーター姿が息子です。今風の北京あたりのエリートサラリーマンという感じが良く出ていました。 |
こちらが葬儀シーンです。どういうわけか子供の頃に見た「八甲田山」を思い出してしまいました。 |
葬儀の当日、遠方からも元の教え子なども棺を担がせてほしいと駆けつけ、葬儀の列は100人にも及びます。村長は預かったお金を息子に「誰も受け取らない」と返します。葬儀の後、貯めてあったお金と村長から息子に返されたお金を「新しい校舎のために」と村長に手渡すディ、この結末も何となく「あの子を探して」に通じます。中国でポピュラーな「希望工程」(Hope Project)です。
翌朝、息子は父の立った古い校舎の教壇に立ち、一時間だけ父の読んだ(作った)教科書を朗読します。(このシーンでもうボロボロに泣いてしまいます、普通。私の近くに座っていた60歳くらいの男性が涙を拭いていました、ああいう時代があったんですね、きっと。)
またもや張芸謀にやられたという感じです。「あの子を探して」よりこちらの方が感動しました。
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こちらはアモイで偶然見かけた本当の葬儀の列。家族は地べたに正座して棺を見送っていました。 |
2000年ベルリン国際映画祭銀熊賞受賞
(スタッフ)
監督:ZHANG YI MOU
脚本:BAO SHI
プロデューサー:ZHAO YU
制作総指揮:ZHANG WEI PlNG
撮影:HOU YONG
美術:CAO JIU PING
サウンド:WU LA LA
音楽:SAN BAO
編集:ZHAI RU
衣装:DONG HUA MIAO
(キャスト)
Zhao Di(Youth):ZHANG ZI YI
Luo Yu sheng:SUN HONG LEI
Luo Chang yu:ZHENG HAO
Zhao Di(Elderly):ZHAO YUE LIN
Grandmother:LI BIN
Mayor(Elderly):CHANG GUI FA
Mayor(Youth):SUNG WEN CHENG
Carpenter Xia(Elderly):LIU QI
Carpenter Xia(Youth):JI BO
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